全国労働衛生週間2026|重点事項と終了後の振り返り

2026年度の全国労働衛生週間は10月1日〜7日
2026年度(令和8年度)の全国労働衛生週間は10月1日から7日まで、準備期間は9月1日から30日までです。
2026年度の本週間は終了しました。この記事では実施期間と重点事項を残し、10月8日以降の振り返りと継続改善にも使えるように整理しています。
今年のスローガンは「ひとりひとりが貴重な人材 心も体も健やかに みんな生き生き健康職場」です。
全国労働衛生週間は、ポスターを掲示するだけの行事ではありません。9月の準備期間を使って、自社の健康管理・職場環境・産業保健体制を点検し、改善を実行する機会として活用すると実務につながります。
全国労働衛生週間の取組と、法令で義務づけられた健康管理等は区別します。必要な措置や法定期限への対応を、週間の開始まで先送りするものではありません。
2026年度に特に確認したい7つの領域
以下は実施要綱の取組を、本記事の読者向けに7領域へ整理したものです。公式の重点事項を7つに限定した一覧ではありません。健康保持増進、熱中症、受動喫煙、個人事業者等の健康管理なども、自社の業務に応じて確認してください。
1.メンタルヘルスと過重労働
長時間労働、ストレスチェック後の対応、相談窓口、管理職のラインケアなどを確認します。
- 長時間労働者の抽出と面接指導
- 高ストレス者への面接指導の案内
- 相談先の周知
- 管理職教育
- 休職・復職支援の流れ
既存の長時間労働者への医師面接指導や管理職のラインケアも合わせて確認するとよいでしょう。
2.女性の健康課題
2026年度の重点には、女性の健康課題への理解促進、健康教育、相談体制の整備等が含まれています。
月経困難症、PMS、更年期などについて、病名を一律に把握するのではなく、相談できる窓口や勤務上の配慮を選べる仕組みを整えます。
3.治療と仕事の両立支援
治療を続けながら働く従業員に対して、主治医の情報、仕事内容、本人の希望を踏まえて就業上の配慮を検討します。
診断書を受け取って終わりではなく、誰が情報を扱い、どのように勤務条件へ落とし込むかを確認します。
4.化学物質・有害業務
化学物質の自律的管理、SDS、リスクアセスメント、保護具、健康診断、石綿・粉じん・騒音等の対策を点検します。
特に化学物質管理は制度改正が続いているため、前年の手順をそのまま使わず最新情報を確認します。
5.転倒・腰痛・高年齢労働者対策
通路の段差、滑り、照明、荷物の配置、重量物取扱い、作業姿勢などを職場巡視で確認します。
高年齢労働者については、年齢だけで一律に制限するのではなく、作業環境や作業方法を見直し、身体負担を減らすことが重要です。
6.テレワーク・副業兼業の健康確保
勤務場所や働き方が多様になると、会社から労働時間や疲労が見えにくくなります。
テレワークでは労働時間・孤立・自宅作業環境、副業兼業では総合的な労働時間・睡眠・疲労などを確認します。
7.小規模事業場の産業保健
50人未満の事業場でも、健康診断後の措置など、規模にかかわらず適用される健康管理への対応が必要です。ストレスチェックは2026年9月20日時点では50人未満の事業場で努力義務ですが、2028年4月1日から実施義務の対象が50人未満の事業場にも拡大します。義務化後の制度と現在の義務を混同せず、実施者・相談先・個人情報の取扱いを準備します。
「50人になってから準備する」のではなく、今のうちから相談体制や外部専門職の活用方法を整理しておくと移行しやすくなります。
9月の準備期間にやること
全国労働衛生週間を実務に活かすなら、9月中に次の項目を確認します。
健康診断
- 未受診者が残っていないか
- 健診結果の医師意見聴取が進んでいるか
- 就業制限や受診勧奨が放置されていないか
長時間労働
- 対象者抽出の基準が機能しているか
- 面接指導の申出方法が分かりやすいか
- 医師意見後の措置を記録しているか
ストレスチェック
- 高ストレス者への案内が機能しているか
- 集団分析を職場改善へつなげているか
- 個人情報の扱いが適切か
職場巡視
- 前回の指摘事項が改善済みか
- 転倒、腰痛、温熱、照明、換気、有害物等の課題がないか
- 現場の従業員から困りごとを聞けているか
衛生委員会(設置義務がある事業場等)
- 設置義務のある事業場で、毎月1回以上の開催・記録・周知ができているか
- 実際の健康課題が議題になっているか
- 「報告だけ」で終わらず改善担当と期限を決めているか
10月1〜7日に行うこと
本週間では、9月に見つけた課題について実際の改善を進めます。
- 事業者・産業医等による職場巡視
- 衛生委員会で重点課題を議論
- 従業員向け健康教育
- 管理職向け研修
- 緊急時対応の訓練
- 相談窓口や健康管理制度の再周知
全部を一週間で実施する必要はありません。重要なのは、優先度の高い課題を決め、担当者と期限を設定することです。
「週間が終わったら終了」にしない
全国労働衛生週間の目的は、労働衛生意識を高め、自主的な労働衛生活動を定着させることです。
10月に実施した内容は、11月以降も確認できるように、
- 課題
- 対応内容
- 担当者
- 期限
- 再確認日
を記録します。
衛生委員会や産業医巡視の年間計画へ組み込むと、単発イベントで終わりにくくなります。
終了後に使う振り返りメモの例
10月8日以降は、実施した活動と未完了の課題を分けて記録します。次の表は社内で使うための記入例で、法定の様式ではありません。
| 確認すること | 残す記録 | 次に決めること |
|---|---|---|
| 巡視の指摘に対応できたか | 対応済み・継続中と確認結果 | 未完了項目の担当者と期限 |
| 相談先を周知できたか | 掲示・社内案内など実施方法 | 夜勤者等にも届く案内方法 |
| 改善が続いているか | 次の会議・巡視で確認する項目 | 再確認日と議題 |
一般的な活動記録に、従業員の氏名・診断名・健診結果などをそのまま書き込まないよう、健康情報の記録とは分けて管理します。議題と年間計画の組み方は、衛生委員会を形骸化させないための実務ガイドをご覧ください。
よくある質問
50人未満の会社も全国労働衛生週間に取り組む必要がありますか
全国労働衛生週間は、事業場規模にかかわらず労働衛生活動を見直す機会として活用できます。50人未満でも、健康診断後の対応や安全衛生上の課題は存在するため、自社に必要な範囲から点検するとよいでしょう。
何から手を付けるべきですか
まず、健康診断の事後措置、長時間労働、メンタルヘルス、職場巡視など、すでに法令・社内制度で実施している項目に抜けがないか確認します。その上で、自社特有のリスクを一つ選び改善すると実行しやすくなります。
産業医とは何を確認すればよいですか
健康診断の有所見者、長時間労働、休復職、職場巡視の指摘事項、化学物質や夜勤などの業務リスクについて、現在の課題と優先順位を相談します。
週間の取組を年間活動につなげる
2026年度全国労働衛生週間は、10月1〜7日、準備期間は9月1〜30日です。
今年はメンタルヘルス、過重労働、女性の健康、治療と仕事の両立、化学物質、小規模事業場、テレワーク、副業兼業など幅広いテーマが重点に含まれています。
すべてを一度に行うのではなく、9月に現状を点検し、優先課題を決め、10月以降の年間活動へつなげることが重要です。
自社の産業保健体制・衛生委員会・職場巡視を見直したい企業は、北陸こころとからだ産業支援センターへのお問い合わせからご相談ください。お問い合わせフォームには、従業員個人の病名・診断書・健診結果などの健康情報を入力しないでください。
参考資料
- 厚生労働省「令和8年度 全国労働衛生週間」
- 鳥取労働局「令和8年度 全国労働衛生週間」実施事項
- 山梨労働局「ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策(令和10年4月1日施行)」
- 労働安全衛生規則 第23条・第23条の2(安全衛生情報センター掲載条文)
情報確認日:2026年9月20日。具体的な適用は事業場の規模・業務内容・最新の法令によって異なります。
